黒字倒産とは?倒産を防ぐためにキャッシュフローを確認すべき理由

0044黒字倒産とは?倒産を防ぐためにキャッシュフローを確認すべき理由 会計

会社の業績が黒字であれば、問題ないとお考えになるかもしれません。しかし、実は黒字であっても会社が倒産する場合があります。このことを「黒字倒産」といいます。

この記事では、黒字倒産が起こる原因について説明し、これを防ぐために役に立つキャッシュフロー計算書の説明をします。

この記事が経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

黒字倒産とは?

「黒字倒産」とは、会社の業績は黒字であるものの、資金繰りに行き詰まり、最終的に倒産に至ることを指します。つまり、損益計算書をみて利益が出ていたとしても経営が順調であるとは限らず、損益計算書だけでなくキャッシュフロー(資金繰り)を確認することも非常に重要であることを示しています。

0044 黒字倒産 キャッシュフロー 黒字倒産とは

黒字倒産が起こる理由は主に以下の通りです。まず、売掛金の回収遅延が挙げられます。利益を計上しても、売上代金が予定通りに入金されなければ資金不足に陥ります。また、在庫の過剰も大きなリスクです。売れ残りの在庫が増えると、キャッシュフローが圧迫され、資金繰りが厳しくなります。さらに、借入金の返済が利益に比べて増大している場合も手元資金を減少させる要因となります。また、売上の入金と経費の支払いのタイミングが悪い場合も資金繰りが悪化します。(支払いサイトの不一致といいます)これらが重なり、結果として手元資金が不足し、支払いが滞り、倒産に至るケースが多いです。

0044-黒字倒産 キャッシュフロー 黒字倒産とは-1

資金繰りを確認するためにはキャッシュフロー計算書が役に立つ

黒字倒産を防ぐためには会社の資金繰りを確認する必要があります。
資金繰りを確認するためにはキャッシュフロー計算書が役に立ちます。

0044

キャッシュフロー計算書は、企業の現金の流れを示す財務諸表の一つで、経営活動における資金の流入と流出を明確にします。この計算書は、企業の資金繰りの健全性を評価するために非常に重要です。キャッシュフロー計算書は、通常、営業活動、投資活動、財務活動の3つのセクションに分かれています。

  1. 営業活動によるキャッシュフロー
    これは会社の主たる業務から得られる資金の流れを示します。売上等の収入や仕入れ、その他の営業費用の支払い等が含まれます。営業活動によるキャッシュフローがプラスであれば、主たる業務から安定した収入が得られていることを示します。
    特に営業キャッシュフローをみると、売上債権の回収の遅れや、過剰在庫かどうか、また支払いサイトに問題がないか分析できます。
  2. 投資活動によるキャッシュフロー
    これは設備投資や資産の購入・売却など、長期的な資産の取得や処分に関連する資金の流れです。通常、成長を目指す会社は投資活動によるキャッシュフローがマイナスになることが多いですが、これが持続的にマイナスであれば、それだけ資金繰りを悪化させる要因となります。
  3. 財務活動によるキャッシュフロー
    これは資金調達や返済に関する資金の流れです。株式の発行、借入金の増減、配当金の支払い等が含まれます。財務活動によるキャッシュフローがプラスであれば、新たな資金調達が行われていることを示し、キャッシュフローがマイナスの場合には借入金の返済が進んでいることを示します。

これら3つのキャッシュフローの合計が、企業の一定期間における資金の純増減を示します。キャッシュフロー計算書を適切に分析することで、企業の収支の健全性を評価し、将来の資金繰りリスクを予見することが可能です。特に「黒字倒産」を防ぐためには、この計算書の分析が欠かせません。

黒字倒産を防ぐためには

黒字倒産を防ぐための資金繰りの管理は、経営者にとって非常に重要です。以下に、具体的な資金繰り管理の方法をいくつか紹介します。

  1. キャッシュフローの定期的な確認
    黒字倒産を防止するためには、キャッシュフローの定期的な確認が重要です。定期的な確認により、将来の現金の流入と流出を把握し、資金不足のリスクを事前に察知できます。これにより、売掛金の回収遅延や支払いサイトの不一致などの問題に早期対応が可能です。
  2. 売掛金の迅速な回収
    売掛金の回収を迅速に行うために、顧客に対する請求書の発行を遅らせず、支払期限を明確にします。支払期限を過ぎても回収できていない顧客の場合には忘れずに支払の督促をしましょう。また、代金の貸倒れを防ぐために新規の顧客に対しては事前に信用調査を行い、信用リスクを管理します。場合によっては早期支払いを促すために、割引を提供するなどのインセンティブを設けます。
  3. 在庫管理 適正在庫の維持
    在庫の過剰はキャッシュフローを圧迫します。会社の実態に基づいて適正な在庫水準を維持し、過剰在庫が発生しないようにします。また、場合によっては滞留在庫は早めに処分し、キャッシュを確保することが重要です。。
  4. 支払い条件の交渉
    経費の支払いが資金繰りに影響を与えないように支払のタイミングを相手と交渉します。支払いが集中する時期を避け、可能であれば支払い期限を調整して、支出を分散させることが重要です。特に、支払いを遅らせることができれば、キャッシュフローに余裕が生まれます。 また、高額な支払いについては、分割払いを利用してキャッシュフローの平準化を図ります。
  5. 資金調達の活用
    黒字倒産を防止するために、資金調達の活用は非常に重要です。自前のキャッシュが足りない場合には、資金調達を通じて、資金繰りを安定させることが必要です。早期に資金不足を予見し、タイムリーに調達を行うことで、資金繰りを健全に保ち、黒字倒産のリスクを回避できます。

まとめ

黒字倒産について説明しました。
黒字倒産とは、業績は黒字なのに資金繰りが悪化してしまい会社が倒産してしまうことです。業績が黒字であれば、資金繰りも問題ないとお考えになるかもしれませんが、実は業績とは関係のない理由で資金繰りが悪化してしまう可能性があります。主な原因としては、売上債権の回収の遅れ、過剰在庫、支払サイトの不一致、借入金の返済が過大といったものが挙げられます。これらは業績を計算する損益計算書をみても記載されないためわかりません。資金繰りを確認するためにはキャッシュフロー計算書を作成するのが一番です。

資金繰りについてご不安がある方、気になる方は是非お気軽にササキ税理士事務所までおお問い合わせください。