資金繰りとは?経営を安定させたい中小企業は資金繰り表を作成しよう

0049資金繰り 会計

中小企業の経営を安定させるためには、資金が十分にあるかどうかが生命線となります。
資金がひっ迫している場合には、今日の支払いはどうしようと経営者の頭の中も常に不安で一杯となってしまいます。しかし、資金に余裕があれば、そういった不安から解放され、次はどのようなチャレンジをしようかと前向きなことが考えることができます。
日々の資金のやりくりのことを「資金繰り」といいます。資金繰りを考えることによって
前向きな経営を目指してみましょう。

この記事では、「資金繰り」について説明しています。皆様のお役に立てれば幸いです。

資金繰りとは?

資金繰りとは、会社が毎日の活動を続けるために必要なお金をやりくりすることです。たとえば、商品を売ったお金が入るまでに時間がかかる一方で、仕入れ代や従業員の給料、税金などの支払いはすぐに発生することがあります。こうしたお金の出入りをうまく調整し、常に手元に必要なお金を確保することが大切です。

資金繰りを怠ると、中小企業は多くのリスクに直面します。まず、手元の現金が不足することで、仕入れ先や従業員への支払いが滞る恐れがあります。これにより、信用を失い、取引先との関係が悪化したり、従業員のモチベーションが下がったりすることがあります。また、急な支出が発生した場合、資金不足により対応が難しくなり、事業の継続に影響を与える可能性もあります。最悪の場合、資金不足が原因で倒産に至るリスクもあります。資金繰りは中小企業の命運を左右する重要な課題です。

資金繰りの基本的な要素

中小企業の経営者が押さえておくべき資金繰りの要素には、主に次の4つがあります。まず、「収入の管理」です。売上代金や借入金など、「いつ」、「いくら」のお金が入るのかを正確に把握することが重要です。次に「支出の管理」。仕入れ、給与、税金、家賃など、毎月の固定費や変動費を把握し、優先度をつけて「いつ」、「いくら」の支払いが必要になるのかを計画します。さらに「手元資金の確保」です。お金の出入りを具体的に数字で確認したうえで、常に手元資金を十分に確保することが大切です。最後に「資金調達の選択肢」です。必要に応じて銀行融資や助成金、取引条件の見直しなどを活用し、資金不足を防ぐことが重要です。これらを押さえて、経営の安定を図ります。

資金繰りが悪化する5つの要因

中小企業の資金繰りが悪化する原因には、いくつかの要因があります。まず、「売上の減少」が大きな要因です。売上が思うように上がらないと、支払いに必要な現金が不足します。また、「売掛金の回収遅延」も問題です。取引先からの支払いが遅れると、現金が入らず、資金繰りが厳しくなります。さらに、「支出の増加」も原因の一つです。予期しないコストや突発的な支出が発生すると、手元のお金が一気に減少します。また、無計画な借入や返済計画の不備も、返済負担が重くなる要因です。また、「在庫の過剰」も資金を圧迫します。在庫が売れずに滞留すると、現金化できず資金繰りが悪化します。最後に売上の急成長した場合も資金繰りを悪化させます。売上が急成長する場合、商品の仕入も増加します。そして、通常は売上代金の回収よりも先に仕入代金を支払う必要があります。そのため、増加する仕入代金により資金不足となります。これらが重なると、資金不足が深刻化することがあります。

まずは資金繰り表を作成する

中小企業が資金繰りを確認するためには資金繰り表が有用です。資金繰り表とは、会社の現金の動きを管理するための表で、一定期間内の現金収入と支出を一覧にまとめたものです。この表を使うことで、経営者は手元資金の流れを把握し、資金が不足する時期や余裕がある時期を事前に予測することができます。資金繰り表には、売上代金や借入金などの「入金予定」と、仕入れ代金、給与、税金、家賃などの「支払予定」が記載されます。これにより、いつどれだけのお金が手元に残るのかが明確になり、資金不足に備えた対策を立てることができます。資金繰り表は、短期的な資金計画を立てる際に重要なツールであり、経営の安定に大きく寄与します。

資金繰り表と同じように資金の流れを説明する資料として、キャッシュフロー計算書があります。資金繰り表とキャッシュフロー計算書の大きな違いは、時間軸にあります。資金繰り表は、今後の資金の動きを予測するために作成されるもので、未来の入金や支払いの予定を記載します。これにより、経営者は手元資金が不足しないように、事前に資金調達や支払いタイミングの調整が可能となります。一方、キャッシュフロー計算書は、過去の資金の動きを説明する資料です。営業活動、投資活動、財務活動ごとに、資金がどのように動いたかを振り返り、会社がどの程度のキャッシュを生み出したかを示します。過去の財務状況を正確に把握し、経営の健全性や資金運用の効率性を評価するために用いられます。

資金繰り改善のための方法

中小企業の経営者が自社の資金繰りを改善するためには、以下の方法を考えてみましょう。

・資金繰り表の作成と定期的な見直し
まずは資金繰り表を定期的に作成し、自社の資金の動きを把握します。予期せぬ支出や収入の遅延に対応するために、資金繰りを常に確認し、迅速に改善策を講じることが大切です 。

・業績の改善
売上が増え、利益が上がることで、手元に残るお金が増え、日々の支払いに十分対応できる余裕が生まれます。これにより、経営の安定も図れます。

売掛金の早期回収
売掛金の回収期間を短縮することで、資金の流入を早め、資金繰りを改善します。具体的には、取引条件の見直しや早期支払いのインセンティブを導入する方法があります。

・支払いサイトの延長
仕入れや外注先への支払い条件を見直し、支払期間を延長することで、支出のタイミングを遅らせ、手元資金の余裕を確保します。ただし、取引先との信頼関係に留意する必要があります。

・不要な在庫の削減
在庫が多すぎると現金が滞留するため、適切な在庫管理を行い、売れ残りや過剰在庫を減らすことで現金化を促進します。定期的な在庫チェックと販売予測に基づいた仕入れが重要です。

・経費の見直し
不要な固定費や変動費の削減を検討します。無駄な支出を減らすことで、資金を効率的に活用できます。特に光熱費や通信費などの経費を見直すと、日々のコスト削減が期待できます。

・融資の活用
手元資金が不足する場合、金融機関からの融資を利用して、経営を安定化させます。ただし、借入額や金利、返済計画を事前に慎重に検討する必要があります。

・リースや分割払いの利用
大きな設備投資が必要な場合、一括で支払う代わりにリースや分割払いを利用することで、初期の支出を抑え、資金繰りを安定させます。

これらの方法を組み合わせることで、資金繰りの安定を図ることができます。

まとめ

資金繰りについて説明しました。
資金繰りは、中小企業が安定して成長するためにとても重要です。ビジネスは常に変わるため、資金の流れをしっかり管理することが大切です。定期的にお金の出入りをチェックし、必要な資金を事前に準備することで、急な出費にも対応できます。また、売掛金を早く回収したり、在庫を適切に管理することで、資金がスムーズに流れるようになります。まずは、自社の資金繰りを把握するために資金繰り表を作成して改善点を見つけてみましょう。そして資金繰りの改善は、一度やったら終わりではありません。常に見直しを続けることが大切です。この取り組みを続けることで、経営者は安心してビジネスに集中でき、会社の成長を促すことができます。

資金繰りの改善をしたい、自社の資金繰りを確認したい、資金繰り表を作成してみたいとお考えの方はぜひ、弊所までご相談ください。