開業届とは、個人で事業を始めた人がそのことを税務署に届け出るための書類です。
開業届は、金融機関での口座の開設やオフィスの契約などをする際に求められることがあります。
基本的な事項を記載するだけなので、それほど手間がかからず手続きすることができます。
この記事では、開業届について知っておきたい事項と記載方法について説明しています。
開業届とは
開業届とは、個人事業主として開業したことを税務署に届け出るための書類です。
正式には、「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
開業届は、個人事業主として開業していることを対外的に示す書類となりますので、
開業時に必ず提出しましょう。
開業届を提出する必要がある人
開業届を提出する必要がある人は、
事業所得、不動産所得、山林所得がある方です。
これらの所得についてざっくりといえば、以下のようなものになります。
事業所得 | 個人事業主としてビジネスを行う人 |
不動産所得 | 不動産賃貸収入がある人 |
山林所得 | 山林を伐採して販売する人 |
ここで注意点としては、サラリーマンが副業でビジネスを行う場合には、
事業所得に該当しない場合があります。
この場合には、雑所得に該当し、開業届の提出は不要です。
開業届を提出しないことのデメリット
開業届の税務署への提出は義務となっていますが、
実は、提出しないことに対する罰則規定は設けられていません。
そのため、税務署との間で開業届を提出しないことによるデメリットはありません。
しかし、開業後、税務署以外の場で開業届の提出を求められることが多々あります。
例えば、口座開設やクレジットカードを作りたい場合には
金融機関から開業届の提出を求められることがあります。
そのため、開業届の提出は開業時に行っておく必要があります。
なお、開業届の提出の有無にかかわらず、
所得が発生すれば確定申告する必要があります。
提出について
①提出の期限
開業届は、管轄の税務署に開業から1カ月以内に提出する必要があります。
すでに提出の期限が過ぎてしまっている場合でも
遅れたことによるデメリットはありませんので速やかに提出した方が良いです。
②提出する税務署
開業届を提出する税務署は、基本的にはお住いの住所によって決まります。
例えば、鎌倉市であれば鎌倉税務署が管轄となります。
提出する税務署は下記のリンク先より管轄が確認できます。
③提出方法
提出方法については
- 税務署の窓口に直接行く
- 郵送
- 電子申告(e-Tax)
があります。
なお、郵送する際には、税務署の受領印のある控えが戻ってくるように
返信用封筒と切手も同封してください。
金融機関等に開業届を提示する場合には、
税務署の受領印がないと認めてもらえません。
④添付書類について
開業届を直接税務署の窓口に直接提出する場合、郵送で提出する場合には、
本人確認書類の提示又は写しが必要となります。
本人確認書類は、
- マイナンバーカード
- マイナンバー通知カード+運転免許証
等のことです。
詳細は下記の国税庁のサイトより確認してください。
国税庁 番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い
郵送の際には、本人確認書類のコピーを同封するのを忘れないように気を付けましょう。
開業届の記載方法
開業届の記載方法について説明します。
開業届のひな形は下記の国税庁のサイトより入手できます。
①個人事業の開業・廃業等届出書
開業の場合には、タイトルの「開業」の部分を丸で囲ってください。
②税務署長
提出先の管轄の税務署を記載してください。
③日付
提出日を記載してください。
④納税地他
・納税地
納税地の部分は、原則的にはお住いの住所地となります。
お住いの住所地を記載してください。
・上記以外の住所地・事務所等
納税地以外に住所地や事務所等がある場合には記載してください。
・氏名
氏名を記載してください。
・生年月日
生年月日を記載してください。
・個人番号
個人番号(マイナンバー)を記載してください。
・職業
~業といった形で職業を記載してください。
例 飲食業、建設業等
・屋号
屋号がある場合には、屋号を記載してください。
⑤届出の区分
開業の場合には、開業にチェックを入れてください。
⑥所得の種類
不動産賃貸収入がある場合には、不動産所得にチェックを入れてください。
山林の伐採等の収入がある方は、山林所得にチェックを入れてください。
それ以外のビジネスによる収入がある場合には、事業所得にチェックを入れてください。
⑦開業・廃業等日
開業日を記載してください。
⑧開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
開業届と一緒に青色申告承認申請書や課税事業者選択届出書を提出する場合には
それぞれに「有」にチェックを入れてください。
なお、青色申告承認申請書とは、
青色申告による税金計算上のメリットを受けるために
必要な書類となります。
必ず内容を確認の上、開業届と一緒に提出しておきましょう。
⑨事業の概要
事業の概要を記載します。
⑩給与等の支払の状況
従業員数や給与の定め方(日給、時給など)を記載します。
従業員を雇う予定がない場合やまだ未定の場合は記載する必要はありません。
なお、個人事業主自身には給与を支給することはできません。
⑪源泉所得税の納期の特例に関する申請書の提出の有無
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を合わせて提出する場合には
「有」にチェックを入れてください。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは、
源泉所得税を7月と1月の半年ごとにまとめて納税するために必要な書類です。
通常であれば、従業員の給与から天引きされる源泉所得税は毎月納税しなければいけません。
しかし、この申請書を提出しておけば、毎月納税しなくて済みます。
そのため、納税を遅らせることができるので、資金繰りのうえでメリットがあります。
必要であれば確認の上、開業届と一緒に提出しておきましょう。
⑫給与支払を開始する年月日
従業員に対する給与を支払を開始する年月日を記載してください。
従業員を雇う予定がない場合や未定の場合には記載しなくても大丈夫です。
⑬関与税理士
顧問契約を結んだ税理士が開業届を作成した場合に記載する箇所です。
ご自身で開業届を作成した場合には記載は不要です。
まとめ
個人事業主が開業した際に提出する開業届について説明しました。
開業届は、個人の方が、事業所得、不動産所得、山林所得が生じるようなビジネスを開始した際に
税務署にそのことを届け出るための書類です。
開業届は、金融機関での口座の開設の際に提出を求められることがあります。
ビジネスの開始直後は慌ただしい時期ですが、
後で遅れて提出することが無いように開業したらすぐに提出しておきましょう。