青色申告承認申請書とは?青色申告のメリットと申請方法の解説

青色申告承認申請書とは?青色申告のメリットと申請方法の解説 個人事業主

青色申告承認申請書とは、

個人事業主の方が、青色申告をするための承認を得るための申請書です。

青色申告とは、個人事業主の方に正しく確定申告することを求めるものですが、

その特典として税金の負担を少なくする有利な制度がいくつか設けられています。

そのため、青色申告は、個人事業主にとっては必ずチェックしておきたいものです。

この記事では青色申告の承認を受けるために必要な

青色申告承認申請書の該当と記載方法について解説しています。

所得税の青色申告承認申請書とは

所得税青色申告承認申請書とは、

「個人事業主」が「青色申告」により確定申告をしたい場合に

事前に提出しておく書類です。

個人事業主と青色申告について説明すると、

ここでいう個人事業主は、以下の方となります。

事業所得自分で独立してビジネスを行っている方
不動産所得不動産の賃貸収入がある方
山林所得山林を伐採して販売している方

なお、サラリーマンの方が副業でビジネスをしている場合には、

事業所得とは認めてもらえないことがほとんどですのでご注意ください。

上記の3つの所得がある方以外は、

青色申告承認申請書を提出できない方になります。

青色申告は、確定申告を正しく行おうとする人に対して有利な取り扱いをする制度です。

そのため、青色申告により確定申告をする場合には、

日々の取引の記帳や書類の保管など一定の要件を求められます。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告により確定申告をするメリットとデメリットについて説明します。

メリット

代表的なメリットは以下の3つです。

・ 青色申告特別控除

・ 純損失の繰越しと繰戻し

・ 青色事業専従者給与

一つずつ説明していきます。

・青色申告特別控除

青色申告特別控除は、

最大65万円を利益から控除することができる制度です。

例えば、事業所得を営んでいる方の収入から経費を引いた利益が1000万円の場合、

最大65万円を引いて935万円に対して所得税をかけることになります。

なお、青色申告特別控除は所得税を直接65万円減らすわけではありませんのでご注意ください。

控除額については、

複式簿記により確定申告書を作成しているかどうか、

確定申告を電子申告しているかどうかにより、

以下のようになります。

55万円控除複式簿記により確定申告書を作成し、電子申告しない場合に
55万円を不動産所得、事業所得から順次控除します。※
65万円控除複式簿記により確定申告書を作成し、電子申告する場合に
65万円を不動産所得、事業所得から順次控除します。※
10万円控除55万円控除と65万円控除の要件に該当しない場合に
10万円を不動産所得、事業所得及び山林所得から順次控除します。

※ 不動産所得のみの方は、

その不動産所得が事業的規模のときに限り65万円又は55万円控除となります。

それ以外は10万円控除となるのでご注意ください。

・純損失の繰越しと繰戻し

純損失とは、ある年度に生じた赤字のことです。

純損失の繰越しとは、

ある年度に生じた赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができる制度です。

たとえば、今年、100万円の赤字となった場合に、

翌年の黒字1000万円から今年の赤字100万円を控除した900万円に対して

所得税をかけることになります。

純損失の繰戻しとは、

ある年度に発生した赤字分だけ、

前年分に収めた所得税のうち一定額を還付してもらう制度です。

・青色事業専従者給与

青色事業専従者給与とは、個人事業主が家族に対して支払う給与を経費に計上できる制度です。

原則としては、個人事業主が家族に支払う給与は経費には計上できません。

しかし、配偶者や15歳以上の家族が、

6か月を超える期間、

個人事業主の営む事業に専ら従事している場合に

経費に計上することができます。

その際には、

「青色事業専従者給与に関する届出書」

を期限内に提出が必要になるのであわせてご確認ください。

青色申告によらない場合にも、

家族に支払う給与分を経費扱いできる

事業専従者控除という制度があります。

しかし、青色事業専従者給与と違い、

支払った給与額全額を経費にできないので

使い勝手が悪いです。

なお、注意点としては、

青色事業専従者給与の対象となった家族は

配偶者控除や扶養控除の対象外となります。

デメリット

青色申告のデメリットは、複式簿記により帳簿をしっかりとつけなければいけないことになります。

しかし、現在は、会計ソフトを利用することで以前ほど手間がかからなくなっています。

そのため、青色申告によるメリットの方がデメリットよりも大きいと思います。

提出について

青色申告承認申請書の提出方法などについて説明します。

①提出先

青色申告承認申請書は、納税地(基本的にはお住いの住所)を所轄する税務署に提出となります。

例えば、お住まいが、横浜市、鎌倉市である場合には

下記のリンク先より管轄が確認できます。

国税庁 税務署の所在地などを知りたい方

②提出方法

提出方法については

・税務署の窓口に直接行く

・郵送

・e-tax(電子申告)

があります。

③提出期限

青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。

ただし、その年の1月16日以降に開業した場合には、開業日から2カ月以内に提出してください。

また、相続により事業を承継したした場合には、別の提出期限が設けられていますので

ご注意ください。

例えば、以前から事業を行っている個人事業主が

令和6年度分の確定申告から青色申告したい場合には、

令和6年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しておかなければいけません。

提出期限を過ぎると次の年から出ないと青色申告できないため

忘れないように注意が必要です。

記載方法

青色申告承認申請書の記載方法について説明します。

青色申告承認申請書のひな形は下記の国税庁のサイトより入手できます。

国税庁 所得税の青色申告承認申請手続

個人青色申告承認申請書

①税務署長

提出する先の税務署名を記載します。

②年月日

提出する年月日を記載します。

③納税地等

・納税地 

住所地にチェックを入れます。

お住いの住所を記載してください。

・上記以外の住所地・事務所等

自宅とは別に事務所や店舗がある場合に記載します。

・氏名

氏名を記載します。

・生年月日

生年月日を記載します。

・職業

職業を記載します。

建設業、飲食業といった「~業」と記載します。

・屋号

屋号がある場合には記載します。

ない場合には記載しないで大丈夫です。

④令和_年分以後の所得税の申告は~

青色申告による申告を開始したい年を記載してください。

たとえば、令和6年に開業して青色申告をする場合には、「令和6年」と記載します。

⑤事業所又は所得の基因 となる資産の名称及びその所在地

事務所や店舗が複数ある場合に記載します。

1つしかない場合には空欄で問題ありません。

⑥所得の種類

該当する所得にチェックを入れます。

⑦いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無

過去に青色申告承認の取消を受けたり、取りやめをした場合に記載してください。

⑧本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日

1月16日以後に開業した場合には、その開業した年月日を記載します。

新たに開業した場合でないときは空欄で大丈夫です。

⑨相続による事業承継の有無

相続により、事業を長刑した際に記載します。

被相続人とは、亡くなった方のことです。

相続開始年月日とは、その方がなくなった年月日

となります。

相続でないときは空欄で大丈夫です。

⑩その他参考事項

⑴簿記方式

該当するものにチェックを入れましょう。

なお、複式簿記でないと青色申告特別控除が55万円又は65万円を受けられず

10万円となってしまいます。

簡易簿記に比べて複式簿記は難しいと考えている方もいるかもしれませんが、

会計ソフトを使えばそれほど難しくないかと思います。

⑵備付帳簿名

作成する帳簿にチェックを入れます。

なお、⑴簿記方式で複式簿記にチェックを入れた場合には

下記の帳簿にチェックを入れておきましょぅ。

現金出納帳

売掛帳

買掛帳

経費帳

固定資産台帳

預金出納帳

総勘定元帳

仕訳帳

⑪関与税理士

顧問契約をしている税理士が、青色申告承認申請書を作成した場合に記載する欄です。

ご自身で作成した場合には空欄で大丈夫です。

まとめ

青色申告承認申請書の概要と記載方法について解説しました。

青色申告は、個人事業主に、正しい確定申告を求める代わりに

税金の負担を少なくする特典が設けられています。

正しい確定申告のためには、

日々の取引を複式簿記を使ってしっかり行うことが重要です。

青色申告を受けたいが、記帳に自信がない方やどうすれば良いのかわからない方は

ぜひ弊所までご相談ください。