この記事では法人設立届出書について解説します。
法人設立届出書は、会社を設立したら各役所に対して、
会社を設立したことを伝えるための書類です。
会社を設立したばかりの方は、
このような書類の作成は初めての場合がほとんどだと思います。
法人設立届出書の作成から提出まで具体的にお伝えしますので
参考にしてもらえると思います。
法人設立届出書とは
法人設立届出書は、法人を設立したことを各役所に届け出るための書類になります。
届け出ることで、以降、各役所から税金関係の書類が送付されます。
提出する必要がある方
提出する必要があるのは、株式会社、合同会社等の法人を設立した方になります。
個人事業者として開業した場合には、
開業届という別の書類を届け出ることになります。
提出先
法人設立届出書の提出先は本店所在地(=会社の住所)を管轄する下記の3か所になります。
国 = 税務署
県 = 県税事務所
市 = 市役所 ※東京都の場合には不要
会社の本店所在地によって、それぞれ提出先の役所の管轄が決まっています。
インターネットで確認して、提出先を間違えないようにしましょう。
例えば
本店所在地が鎌倉市である場合には、
税務署 ⇒ 鎌倉税務署
県税事務所 ⇒ 横須賀県税事務所
鎌倉市
の3か所が提出先となります。
本店所在地が、神奈川県である場合には
下記のリンク先より税務署と県税事務所の管轄が確認できます。
提出期限
法人設立届出書の提出期限は、税務署、県税事務所、市役所とも
基本的には、法人設立の日(設立登記の日)以後2月以内
となります。
しかし、自治体によっては、2カ月以内でないところもあるため
詳細は各自治体にご確認ください。
ちなみに
鎌倉市 30日以内
横浜市 2カ月以内
となっています。
提出方法
法人設立届出書の提出方法について、下記の3つの方法があります。
- 窓口持参 各役所の窓口に直接持参して届け出る方法
- 郵送 各役所に郵送で届け出る方法
- 電子申請 電子申請制度(e-tax, el-tax)を利用して電子データで届け出る方法
この記事では、窓口持参と郵送による方法を前提に説明しています。
電子申請の場合は説明していませんのでご注意ください。
法人設立届出書のひな形の入手先
法人設立届出書は、提出先の役所ごとに様式が決まっており、ひな形は各自治体のサイトより
ダウンロードできます。
法人設立届出書の記載内容
法人設立届出書の記載内容について説明します。
税務署、県税事務所、市役所ともにほとんど記載内容は同じですので
税務署の様式で説明していきます。
なお、お手元に法人の定款と謄本(登記事項全部証明書)を用意しておくと
記載する情報が記載してあるため作業がやり易いです。
①設立届の提出日
提出日を書きます。
②提出先の税務署
本店所在地の管轄の税務署を記載します。
本店所在地が鎌倉市であれば、鎌倉税務署となります。
③本店又は事務所の所在地
本店所在地を記載します。
登記の通りに記載しましょう。
なお、下の「納税地」は、基本的には本店所在地となりますので「同上」と記載すれば大丈夫です。
④法人名
法人名を記載します。
登記の通りに記載しましょう。
⑤法人番号
法人番号を記載します。
法人番号とは、法人版のマイナンバーで13桁の数字からなります。
国税庁の法人番号公表サイトから確認できます。
設立届の提出日までに指定を受けていない場合には
未記入でも大丈夫です。
⑥代表者氏名及び代表者住所
代表者の氏名住所を記載します。
謄本の通り記載しましょう。
なお、代表者とは株式会社でいうと、代表取締役のことになります。
⑦設立年月日
設立年月日を記載します。
設立年月日とは、法人が登記された日になります。
謄本に記載があります。
⑧事業年度
事業年度は、定款に記載がありますので、定款を確認してください。
⑨設立時の資本金又は出資金の額
設立時の資本金又は出資金の額は、謄本に記載がありますので、謄本を確認してください。
⑩消費税の新設法人に該当することになった事業年度開始の日
消費税の新設法人とは、設立時の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の法人のことを言います。
消費税の新設法人に該当すると、初年度から消費税を納税する義務が生じます。
消費税の新設法人に該当する場合には、設立年月日を記載してください。
該当しない場合には、空欄で大丈夫です。
⑪事業の目的
定款に記載されている通りに記載してください。
ただし、すべてを記載するスペースがないので、省略して記載しても大丈夫です。
⑫支店・出張所・工場等
支店・出張所・工場がある場合には、名称と所在地を記載してください。
⑬設立の形態
どのような経緯で法人を設立したかを選択肢の中で当てはまるものに〇をつけてください。
ここでは、1と5の選択肢について説明します。
それ以外の選択肢は、組織再編による場合ですので省略します。
1 個人企業を法人組織とした法人である場合
いわゆる法人成りで、今まで個人事業者で活動していた方が、法人化した場合です。
個人事業者の時の管轄の税務署と整理番号を記載してください。
5 その他
今まで事業を行っていない方が新規で法人として活動を始める場合です。
括弧のなかに「新規開業」と記載しましょう。
⑭設立の形態が2~4である場合の適格区分
上記⑬の選択肢が、2~4の場合に記載が必要です。
それ以外の場合は空欄で大丈夫です。
⑮事業開始(見込み)年月日
基本的には設立年月日を記載してください。
まだ準備段階で事業開始が遅れる場合には、事業開始の見込み日を記載します。
⑯「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無
「給与支払事務所等の開設届出書」とは、役員報酬や従業員給与を支払うことを届け出るための書類です。
通常は、従業員がいない場合であっても代表者自身に役員報酬を支給することになるので届出が必要となります。
「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する際には、「有」に〇をつけましょう。
⑰関与税理士
関与税理士とは、顧問契約を結んでいる税理士のことです。
関与税理士がいる場合には、関与税理士の氏名及び事務所所在地を記載してください。
顧問税理士がいない場合には空欄で大丈夫です。
⑱税理士署名
関与税理士がこの法人設立届出書を作成した際に、税理士が署名をする欄となります。
ご自身で法人設立届出書を作成した場合には空欄で大丈夫です。
⑲添付書類等
この法人設立届出書と一緒に提出する添付書類を記載する欄です。
株式会社や合同会社等であれば、定款と設立の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要となります。
ただし、税務署に提出する際には設立の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)は不要となりました
届出に当たっての注意点
法人設立届出書を各役所に提出する際には、正と控えの2部を提出しましょう。
後になって、届出をしたか分からなくならないように、
役所の受領印を押された控えを自社内で保管しておく必要があります。
また、法人設立届と一緒に提出しておいたほうがよい書類として、
青色申告の承認申請書、
源泉所得税の納期の特例の届出書
があります。
必ず提出しなければいけないものではありませんが、
場合によってはメリットがあるので確認しておきましょう。
まとめ
法人設立届出書について解説しました。
法人設立届出書は、会社を設立した際に作成しなければいけない書類です。
作成したら、管轄の税務署、県税事務所、市役所に提出します。
お手元にある定款や登記事項全部証明書を確認しながら、
記載内容に間違いが無いように注意しましょう。
弊所と顧問契約を締結してくださったお客様に対しては
法人設立届出書は弊所で作成・届出をさせて頂きます。
設立したばかりでどうすれば良いのかわからないといった場合、
やらなければいけないことが他にもたくさんあって時間がない場合には
ぜひご相談ください。