青色申告の承認申請書とは、
青色申告を利用したいときに提出する書類のことです。
青色申告を利用すると、税金の負担が減る等たくさんのメリットがあります。
そのため、会社を設立したならば必ず利用したい制度となっています。
この記事では、青色申告について、
どのようなメリットがあるのか、どうやって申請するのかを
説明します。
青色申告の承認申請書とは
青色申告の承認申請書とは、
会社が法人税の申告をする際に青色申告をするために承認を得る手続きです。
会社が青色申告をすると、
法人税の負担を減らす制度を受けることができます。
そのため、青色申告の承認申請書は必ず提出しておきたいものとなります。
青色申告のメリット
会社が青色申告の承認を得ると、
法人税の計算をするうえで、たくさんのメリットがあります。
ここでは代表的なものを3つご紹介します。
欠損金の繰越控除
欠損金の繰り戻しによる法人税の還付
30万円未満の資産の一括経費計上
一つずつ説明しましょう。
欠損金の繰越控除
欠損金の繰越控除とは、
会社が青色申告をした事業年度に生じた欠損金(赤字額のことです)
を最大10年間繰り越して、以降の利益と相殺することで法人税の負担が減る制度です。
簡単な例でみてみましょう。
第1期 利益 △100万円
第2期 利益 300万円
第1期の法人税は、利益がマイナスのため発生しません。
※注意 実際には、法人県民税と法人市民税は利益がマイナスの場合でも均等割という税金が発生します。
第2期の法人税は、
法人税の税率を30%とすると、
300万円 × 税率30% = 90万円
となります。
しかし、欠損金の繰越控除を適用すると、
第2期の法人税は、
第2期の利益300万円から第1期の赤字△100万円を控除することができるので
(300万円 - 100万円) × 税率30% = 60万円
となります。
したがって、第2期の法人税の負担が30万円減らせることができます。
欠損金の繰り戻しによる法人税の還付
欠損金の繰り戻しによる法人税の還付とは、
当期に赤字となった場合に前期に収めた法人税の還付を受ける制度です。
簡単な例でみてみましょう。
第1期 利益 100万円 法人税 30万円
第2期 利益 △50万円
第1期に法人税を30万円納めていますが、
第2期に赤字となったため、第1期の法人税30万円のうち、
第2期の赤字相当分
30万円× 50万円/100万円 = 15万円
の還付を受けることができます。
30万円未満の資産の一括経費計上
30万円未満の資産を購入した場合に、年間300万円を限度として
購入全額を経費に一括計上することができる制度です。
通常だと、10万円以上の資産は購入全額を経費に一括計上することはできず、
減価償却という仕組みによって複数年度にわたって分割して経費に計上されます。
しかし、青色申告をしていると、10万円以上30万円未満の資産は、
購入した事業年度に全額経費計上することができるので、
その事業年度の法人税の負担を減らすことができます。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは、正確な会計帳簿を作成しなければいけなくなることです。
ここで、正確な会計帳簿とは、複式簿記に従って作成することになります。
正確な会計帳簿の作成はハードルが高いと感じられるかもしれませんが、
現在では会計ソフトが充実しているので、
会計ソフトがない時代に比べれば十分可能だと思います。
また、青色申告を利用しない場合であっても、
法人税を正しく計算するためには、しっかりとした会計帳簿は必須となります。
したがって、いずれにしても帳簿をつける手間に違いはなく、
青色申告のデメリットは実質ないと考えてよいかと思います。
青色申告の承認申請書の申請方法と期限
青色申告を受けるためには、
青色申告の承認申請書を管轄の税務署に申請する必要があります。
申請方法
申請方法は、以下の3つとなります。
- 窓口持参 各役所の窓口に直接持参して届け出る方法
- 郵送 各役所に郵送で届け出る方法
- 電子申請 電子申請制度(e-tax)を利用して電子データで届け出る方法
なお、申請後、税務署からは青色申告を承認した返答はありません。
特に税務署から連絡がなければ承認されたことになります。
そのため、窓口持参と郵送の場合には
青色申告の承認申請書を申請したことを忘れないように、
申請の際には必ず、正と控えの2部を提出し、
税務署の受領印のある控えを会社に保管するようにしましょう。
提出期限
青色申告の承認申請には、提出期限があります。
提出期限を過ぎると、その事業年度は青色申告の承認を受けることができません。
次の事業年度まで待たないといけなくなります。
提出期限は、原則として
青色申告を利用したい業年度開始の日の前日まで
となります。
ただし、設立1年目の場合には、例外的に
設立の日から3月以内となります。
※注意点
設立の日から3月以内に事業年度が終了する場合には、
期限がその終了の日の前日になる等、
例外的な規定もあるのでご注意ください。
青色申告の承認申請書の記載方法
青色申告の承認申請書の記載方法についてみていきます。
申請書は、国税庁の下記のサイトより入手できます。
①日付
提出日を記載します。
②税務署長殿
管轄の税務署の名前を入れます。
管轄は、国税庁の下記のサイトよりご確認ください。
なお、鎌倉市であれば、鎌倉税務署となります。
③納税地、法人名等、法人番号、代表者氏名、代表者住所、事業種目、資本金又は出資金額
会社の情報を記載する箇所です。
登記事項全部証明書通りに記載しましょう。
また、法人番号は、法人のマイナンバーのことです。
法人番号は、登記事項全部証明書には記載されていないので
下記の国税庁のサイトより確認しましょう。
もし、設立したばかりで、まだ番号がない場合には空欄でも構いません。
④事業年度の自令和年月日、至令和年月日
青色申告を開始したい事業年度の開始年月日と終了年月日を記載します。
なお、設立したばかりの場合には開始年月日は設立日を記載してください。
⑤1 次に該当するときには、それぞれ□にレ印を付すとともに~
設立時から青色申告を始めたい場合には、
上から2つ目、
「この申請後、青色申告書を最初に提出しようとする事業年度が設立第一期等に該当する場合には、~」
にチェックを入れます。
日付の部分は、設立年月日を記載します。
⑥2 参考事項
(1) 帳簿組織の状況
伝票又は帳簿名の箇所は、青色申告では作成が必須となる「総勘定元帳」と「仕訳帳」と記載します。
左の帳簿の形態の箇所は、何を使って帳簿を作成しているか記載します。
会計ソフトを使って帳簿を作成する場合には「会計ソフト」、
手書きのノートで作成している場合には「ノート」
と記載してください。
記帳の時期の箇所は、いつ記帳しているかです。
毎日、毎週、毎月、等と実態に合わせて記載となります。
⑦ ⑵ 特別な記帳方法の採用の有無
会計ソフトを利用する場合には、
「ロ 電子計算機利用」を〇で囲ってください。
⑧ (3) 税理士の関与している場合におけるその関与度合
顧問税理士がいる場合に、その関与具合を記載します。
顧問税理士がいない場合には空欄で大丈夫です。
⑨税理士署名
顧問税理士が代理で青色申告の承認申請書を提出する場合に記載する部分です。
顧問税理士がいない場合には空欄で大丈夫です。
まとめ
青色申告の承認申請書について説明しました。
会社が青色申告を利用すると、税金の負担を減らすメリットがあります。
そのため、青色申告は必ず利用しておきたい制度となっています。
青色申告を利用するためには、
青色申告の承認申請書を
原則 その事業年度開始の日の前日まで
会社設立事業年度 その事業年度開始の日から3カ月以内
に管轄の税務署に提出する必要があるので、
忘れないようにしましょう。
また、青色申告を利用するためには正確な会計帳簿の作成が必要となります。
弊所と顧問契約を締結してくださったお客様に対しては
青色申告の承認申請書は弊所で作成・届出をさせて頂きます。
設立したばかりでどうすれば良いのかわからないといった場合、
会計帳簿の作成方法に自信がないといった場合には
ぜひご相談ください。